天国と地獄
黒澤明監督の最高傑作といえば、この「天国の地獄」か「七人の侍」という人が多い、それほどの作品であり、必見の映画だ。
『天国と地獄』は、1963年(昭和38年)公開の黒澤明監督の映画。黒澤映画としては、1961年の『用心棒』、『椿三十郎』に続く作品となる。原作は黒澤明がたまたま読んだというエド・マクベインの小説『キングの身代金』(87分署シリーズの一つ)である。
綿密に練られた設定とストーリー展開、三船敏郎、仲大達矢など俳優陣のすばらしい演技など、推理ドラマの最高傑作と言ってもよいだろう。
公開から随分と時間が経っているが、何度見てもそのリアリズムに引きこまれる。
そのリアリティのすごさからか、身代金目的の誘拐事件や、身代金を電車から落として引き渡す手法などを模倣する事件が多発し、社会問題にもなった映画である。
天国と地獄の舞台、ロケ地
天国と地獄の舞台は主に、横浜、東海道線の酒匂川鉄橋(小田原と鴨の宮の間)、そして江ノ電だ。
主人公権藤金吾の邸宅は、横浜市西区の浅間台の丘の上にある。また、酒匂川鉄橋は有名な身代金の受け渡しシーンの舞台だ。
誘拐犯人は、身代金を酒匂川鉄橋で受け取り、人質だった子どもを解放する。そして、江ノ電が映画の舞台として登場する。
まずは、江ノ電の極楽寺トンネルだ。誘拐された子供が車で走った道を覚えており、極楽寺トンネルが登場する。ちなみに、極楽寺トンネルは、極楽寺駅そばの赤い欄干の桜橋から入口を望むことができる。
警察は、誘拐された子供が監禁された犯人の家を見つけるために子供に絵をかいてもらう。子供の書いた絵には『夕日と富士山』が描かれていた。この絵を手掛かりに警察は、江ノ島付近を捜索し、聞きこみにより「鎌倉高校前駅からなら、こんな風に見えるだろう」との情報を得る。
もうひとつの手掛かりは音だ。犯人との電話には当時江ノ電が採用していた集電装置、トロリーポールから集電する音が残されていた。この音の特徴により、電話から聞こえていた音は江ノ電の音だとわかる。この当時トロリーポールを使っていたのは、(少なくとも映画の舞台周辺では)江ノ電だけだったようだ。しかも、江ノ電も『天国と地獄』公開の翌年1964年(昭和39年)には集電装置をトロリーポールからZパンダに変更したのである。
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ところで、誘拐された子供は、主人公権藤の息子(と犯人は思っていた)ではなく、権藤の運転手(佐田豊)の息子だったのだが、運転手は独断で犯人のアジトを突き止めようと、息子を車に乗せのぼっていく坂が上の写真だ。場所は、鎌倉高校前から腰越方面に少し行ったところにある腰越3号踏切。
そして、運転手たちと刑事はこの坂を上った高台のアジトの前で偶然でくわしアジト発見となる。この時、家の真下を江ノ電がのんびりと通過していくのだ。
![]() | タイトル | 天国と地獄 | 監督 | 黒澤明 | 公開 | 1963年 |
| 出演 | 三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也、佐田豊、石山健二郎、木村功、加藤武、山崎努他 |

